すきっ歯治療後の後戻りについて

すきっ歯の治療法では、どの手法を用いても、術後の後戻りが課題となります。
ワイヤーを使った歯列矯正では、すきっ歯の場合、非常に後戻りの危険性が高いです。この点で、1年以上に及ぶ治療期間と高い治療費が、まったく無駄になる可能性があります。これを防ぐためには、生涯にわたって保定装置を使い続けることが必要です。
セラミッククラウンによるすきっ歯の治療で、歯の横幅を増やさないで、歯を舌側に入れる方法で治療した場合は、矯正と同様の後戻りをします。私は、開業当時この方法ですきっ歯を治したことがあります。とても綺麗に治ったと、患者さんと共に喜びました。しかし、2年ほどして患者さんが来院し、驚きました。完全に元のすきっ歯に戻っていたのです。当時は、原因が分からず途方に暮れ、患者さんの信頼を完全に失いました。

歯を舌側に入れないで、横幅だけを増やすセラミッククラウン法の場合は、ラミネートベニア・ダイレクトボンディングと同じリスクになります。
ラミネートべニア・ダイレクトボンディングも後戻りの危険があります。後戻りしても、ワイヤー矯正ほど後戻りの量は大きくありません。しかし、後戻りのリスクは80%以上あると思います。すきっ歯になった原因の内、舌癖が80%以上あると考えていますが、舌癖があるまま、これらの治療を行い、そのまま放置すると、ほぼ100%の確率で後戻りします。
当院では、後戻りしないよう、すきっ歯になった原因を確認し、それに応じた術後の対処を行っています。

(1)当院の行っている後戻り防止法

舌癖による後戻りが問題になるので、舌癖を治すことが必要です。
まず、舌癖があるかどうかを調べます。
当院では、舌癖があるかどうかを、2つの方法で調べています。
舌癖があると診断すると、すきっ歯の治療後に、舌癖を修正するための方法を指導します。

この方法ですぐに舌癖が治ればいいのですが、癖は簡単に治るものではありません。
そこで、舌癖が治るまでの間、リテーナーを使用していただきます。

リテーナーの装着時間は、一日30分程度でOKです。
矯正の保定は、ほぼ一日中か、夜寝ている間中ずっとですが、それに比べると圧倒的に少ない時間で効果が出ます。
最低1年くらい、リテーナーを使っていただくよう、お願いしています。
このリテーナーの作成費は、5,500円(税込)です。
リテーナーの使用だけでは、後戻りを完全には防止できませんので、舌癖を治す訓練も必ず行ってください。

(2)ダイレクトボンディングを行ったが、後戻りした場合

後戻りした場合のリカバリー法
後戻りした場合のリカバリーは、2通りの方法で行っています。

<ⅰ>ダイレクトボンドを除去し、やり直す

除去料が11,000~22,000円、やり直し料が44,000円(税込)です。
治療回数は2回かかります。
歯の横幅がさらに広くなります。

<治療例>

正中離開と右側の歯間離開の治療・5年後の後戻りとそのリカバリー

(2か所のすきっ歯の治療)
術前 術前
術後 術後
<治療説明>
正中離開と右側の歯間離開の2か所を、ダイレクトボンディング法で治療しました。
<治療費・治療期間>
治療費は88,000円(税込)、治療期間は2日で、1回60分の治療時間
<リスク・注意事項>
こちら
(すきっ歯治療の後戻り)

治療後、約5年経過して来院されました。
治した前歯が、少し開いてきたというのが主訴でした。

術後5年経過した状態 術後5年経過した状態
<このようになった理由>
正中部分が少し後戻りして、約1ミリのすきっ歯になりました。すきっ歯の治療で、後戻りした症例を掲載したホームページは他にありません。しかし、矯正ですきっ歯を治療すれば、保定装置をずっと使い続けない限りすぐに後戻りします。このことは、このホームページで繰り返し説明しています。また、最も後戻りしにくいダイレクトボンディング法でも、2年以上経過すると、80%以上の症例で後戻りします。原因は、舌癖です。この症例は、治療当時、舌癖を見極める技術がなく、舌癖による後戻りを予想できず、そのままにしていたため、後戻りしました。術後5年経過しています。隙間の後戻り以外、破折や変色などのトラブルはありません。
(後戻りのリカバリーの治療)
レジンの除去 レジンの除去
リカバリーの術後 リカバリーの術後
<治療説明>
後戻りのリカバリーは2ステップで行います。ステップ1は、ダイレクトボンディング法で使ったレジンの除去。ステップ2は通常のダイレクトボンディング法です。後戻りした隙間を、そのままダイレクトボンディング法で治療すればいいと思いますよね。しかし、長期間経過したレジンの上に、レジンを重ねても接着しないのです。セラミックプライマーを使って処理しても、十分な接着力を得られません。このため、このままダイレクトボンディング法でリカバリーしても、短期間でリカバリー部分は剥がれてしまいます。したがって、まずはレジンを完全に除去し、自分の歯に戻さなければいけません。ところが、ダイレクトボンディング法を上手に行うと、自分の歯とレジンの境が肉眼ではわかりません。そこで、薬液を塗布し、レジンと自分の歯を色分けします。自分の歯は白く変色し、レジンの部分の色はそのままです。すきっ歯の部分が、完全に白く変色するまで、薬液の塗布とレジンの除去を繰り返します。次に、ステップ2で、ダイレクトボンディング法を行って、リカバリーは終了です。
<治療費・治療期間>
治療費は、除去料が22,000円、やり直し料が44,000円、合計66,000円(税込)、治療期間は2日
<このリカバリー法の欠点>
歯の形が、さらに大きくなります。
したがって、後戻りはできるだけ避けたいですね。

<ⅱ>マウスピースで元の位置に戻す

後戻りの量によって、治療費と治療期間が異なります。
後戻りが少ない場合は、治療費66,000円(税込)、治療期間1カ月
後戻りが大きい場合は、治療費110,000円(税込)、治療期間3カ月です。
ほぼすべての後戻りについて、治療費・治療期間は、この間に入ると思ってください。
このリカバリー法の長所は、歯の大きさが変わらないことです。

当院のすきっ歯治療には、2年保証が付いていますが、この保証は、レジンの破折修理のみです。
すきっ歯の後戻りについては、保証がありません。
これは、すきっ歯になった舌癖が改善されない限り、2年程度で必ず後戻りするからです。
すきっ歯になる原因の80%以上が、舌癖が原因ですが、舌癖のある患者さんのほぼ全員に、後戻りが起こります。
これを防止するために、舌癖があると診断した患者さんには、舌癖を治す訓練と、後戻り防止用のリテーナーの使用をお勧めしています。
当院では、80%以上の患者さんが、このリテーナーを使用しています。

他院で行ったすきっ歯の治療のやり直しについて

すでに他院にて同様の治療がしてあり、やり直しを希望される場合は、2回にわけて治療を行います。1回目はレジンの除去を行います。費用は22,000円(税込)、時間は30分です。レジンと自分の歯との境はわかりにくいので、レジンの除去時に歯も少しは削ることになります。2回目にすきっ歯をレジンで埋めていきます。費用は44,000円(税込)、時間は60分です。

当院で行った治療が一部破折した場合も、これと同じく2回にわけて行います。当院の治療には2年間の保証がついていますので、2年以内の破折については無料にて対応させていただきます。